- 奈月
人と違っていい
こんにちは、奈月です。

教えることは学ぶこと。
私はヨガスタジオでヨガを教えていますが、
毎回生徒さんたちを見ているといろいろなことに気づきます。
クラスの多くは筋力を使って自分から身体を動かしていく陽のヨガですが、
時々「陰ヨガ」も担当します。
陰ヨガは、重力に委ねて心身をゆるめていく静的なヨガです。
一つのポーズを3~5分キープして力が抜けていくのを待つのですが、
生徒さんそれぞれ骨格も筋肉のつき方も柔軟性も違うので、
すぐにリラックスできる人もいれば、なかなか緊張の抜けない人もいます。
力を抜くことを重視するので、時にボルスター(長枕)やブロック、ブランケットなどの
道具で身体をサポートし、より力が抜きやすいように行っていきます。
陽のヨガでは肘や膝の向き、土台や体感の作り方など細かく指導して、
無理に力を入れて怪我などしないように注意しながら進めます。
一方、陰ヨガはとにかくリラックスすることを最優先にするので、
細かい注意はせず、委ねる、待つことを意識してもらいます。
そのため、流れているBGM以外は何の音も言葉も聞こえないとっても静かな時間が流れます。
そうすると、生徒さんそれぞれの違いが見えてきます。
陰ヨガに慣れていない人は、キープしている間にちょっとそわそわすることが多いです。
ヨガ=身体を動かすというイメージが強いので、
「これで良いのかな?」「あとどれくらいかな?」とポーズの形や時間が気になったり、
動いていないことで逆に気持ちが落ち着かなかったりするのでしょう。
普段の生活で「ただ待つ」「何もしない」という時間が圧倒的に少ない私たちは、
何もしないでただ待つということに抵抗感を覚えます。
何かしていることが良いことで、何もしていないことは悪いことだという価値観を
知らず知らずのうちに握りしめています。
そのため、陰ヨガでの空白の時間も「こんなに何もしなくていいのか」という気持ちが出てくるのだと思います。
私も陰ヨガを初めて体験した時は、そのような反応が出ました。
でも、陰ヨガに慣れてきた生徒さんは、身体の力を手放すのがとても上手になり、
キープしている間もどんどん緩んでいきます。
そして、それぞれの身体の変化に合わせて姿勢にも差が出てきます。
例えばバタフライのポーズで、ゆるゆるになって頭が床についてしまう人もいれば、
股関節が開き切らない人もいます。
それでも、慣れている人たちは自分のペースで、自分の身体の変化に合わせてどんどんゆるんでいくのです。
隣の人がどうだとか、自分のポーズは綺麗なのかなどは気にせず、
ただただ身体が変わるのを待ち続けています。
陰ヨガは陽ヨガほどポーズの完成は求めないので、人それぞれ少しずつ形が違ったりします。
でも、それで十分なのです。
その時、その人が心身ともにリラックスできている状態、それこそが完成形なのです。
こんなに、「人と違っていいんだ」と感じるヨガはないのかもしれません。
もちろん、どんなヨガの流派も人と比べずに自分自身の幸せを大切にするので、
人と違って大いに結構です。
でも、どうしてもポーズを重視すると人との比較をしてしまいます。
陰ヨガは、力が抜けてリラックスしている状態、つまりその人の自然のままの状態になります。
だから、人と違って当たり前なのです。
顔も身体も性格も、誰一人としておんなじ人はいません。
それを無理やり誰かに合わせようとしたり、誰かと比べて悩んだりすること自体おかしいのですよね。
誰もが、この世にたった一人の大切な存在だから、
我慢して周りに合わせることも、自分を失くして何かになろうとすることも、
人の目を気にして何かを諦めることも必要ないのです。
人と違っていい。
あなたの感覚、気持ちをもっと大切に。
奈月